オープン・ナレッジ、世界規模でのオープンデータ現況調査にもとづき、2014年オープンデータ・インデックスを公開

2014オープンデータ・インデックス:世界各国の政府による主要データ公開に遅れ

オープン・ナレッジはオープンデータインデックス2014を公表しました。それによると、幾分かの進捗はありましたが、ほとんどの政府は依然として重要な情報をアクセス可能なかたちで市民や企業へ提供できていないことが判明しました。最近のマッキンゼーほかの推計によれば、オープンデータの潜在的な便益は1兆ドルを越すと言われていますので、進捗が遅いということは多大な機会損失に直面していることを意味しています。

オープン・ナレッジの創設者かつ代表であるルーファス・ポロックは「政府データをオープンにしていくことは、民主主義、説明責任、そしてイノベーションを牽引できます。政府データの公開は、市民に、自分たちの権利を知り、それを行使する力をもたらします。そして、社会の隅々にまで便益をもたらすことができます-交通から教育、健康といった分野にまで。過去数年の間に、政府からオープンデータへの支持が増えていることは大変喜ばしいことです。しかし、本年のオープンデータインデックスは物語っています。現場の状況の進捗は、美辞麗句とは懸け離れた状況にあるが多すぎると。

このインデックスは、政府支出、選挙結果、交通時刻表、環境汚染レベル等を含む主要10領域における情報の可用性とアクセシビリティに基づいて各国をランク付けしています。

英国政府は全体スコア96%で2014年指標においても首位の座を維持しました。僅差でデンマークが2位、そして、フランスが昨年の12位から3位に上昇しています。フィンランドが4位に位置し、オーストリアとニュージーランドが5位を分け合っています。インドが27位から10位に上昇するという印象的な結果を出しています。そして、南米のコロンビアやウルグアイがともに12位に位置しています。

シェラレオネ、マリ、ハイチそしてギニアは評価対象国の中では最下位にランクされていますが、オープン性の欠如や十分な市民社会の参加の欠如の故にまだ評価すらされていない国々が多数あります。

総体的に見ると、オープンなデータセット数が有意に改善(87から104へ)した一方で、全調査対象国を通したオープンなデータセットの比率は11%と低い数字にとどまっています。

オープン・ガバメント・データのリーダーたちの中ですら、まだ改善の余地があります。例えば米国とドイツは統合されたオープンな企業登記情報を提供していません。政府の支出データの詳細についてのオープン性の程度についても残念な結果が出ています。ほとんどの国々は、まったく情報提供できていないか、限定的な情報しか提供できていません。参加97カ国中、英国とギリシャの2カ国だけが政府支出データのオープン性について満点を得ています。このことは、多くの国において、成長が停滞して、かつ、財政緊縮が続いている中において、特筆すべきことです。なぜなら、この種のデータへのオープンなアクセスを提供することは、政府予算を節約したり、政府の効率性を改善するための効果的な方法であろうと思えるからです。

ルーファス・ポロックは次のように言っています: 「オープンデータの真の便益を実現するには、政府はオンラインにわずかなスプレッドシートを置く以上のことをしなければなりません。情報は誰でもどこでも目的を問わず容易に発見、理解でき、自由に利用・再利用・共有されるべきなのです。」

また、一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンは、今年の日本の評価について、次のようにコメントします。

日本はこのオープンデータインデックスで、27位(2013)から19位(2014)に上昇しました。日本政府は政府データカタログサイトを正式にローンチし、電子行政オープンデータ推進のためのロードマップを着実に実行しています。

一方、日本は国連電子政府ランキングで18位(2012)から6位(2014)へ躍進しました。電子政府分野における主要課題の一つであるオープンデータは、政府のリーダーシップを発揮によって進展できる分野です。政府は、オープンデータ政策についてもリーダーシップを発揮し、国家IT戦略(世界最先端IT国家創造宣言)の目標である2015年度末に世界最先端の国々の一員となることを目指し、今後はさらに市民社会との連携を強めて取り組んでいただきたいと考えます。

その目標のために取組むべき課題は、時刻表、政府支出、企業登記と、全体的なオープンライセンス化です。

時刻表:民間の鉄道会社がデータを保有しているため、政府自身が提供することはできないデータです。しかし時刻表ではありませんが、東京メトロや東急電鉄が企業としてデータ提供に取り組み始めていることは注目に値します。政府も協力し動きを加速していくことが期待されます。

政府支出:日本政府も公開していますが、インデックスが求める詳細さに達していませんでした。英国政府等を研究し、より詳細な支出情報を公開していく必要があります。

商業・法人登記:2016年から始まる法人番号制度ではオープンデータの提供が議論されていますが、それでも情報が不足すると思われます。既存の登記情報提供サービスの改善を加速化する必要があるでしょう。

ライセンス:2015年度に予定されている政府利用規約の見直しによって、完全なオープンライセンスにすることが求められます。